落語会レポート 『真夏のくらやみ落語会』
落語会レポート
2016.8.11
真夏のくらやみ落語会
昨年開催して大好評だった、くらやみの中で落語を“聴く”会
二年目の今年は昼と夜の2部制。
共催のNPO法人モンキーマジックさんは、普段は視覚障害者とのフリークライミングを主宰しているのにちなみ、新しい祝日“山の日”に開催しました。
昼の部は、小学生料金も作ってお子さんも参加できる会、
夜の部は落語の後はみんなで食事とお酒を楽しむ大人の会。
モンキーマジックさんのおかげでアイメイトを連れた視覚障害者の方にもご参加いただいて、
昼夜合わせて80名弱に参加して頂き、大盛況となりました。
この会を始めたきっかけは、
いまから五年まえのまだ前座だったとき、
外苑前にあるダイアログインザダークという暗闇を体験できる施設に行ったときに、暗闇の中でなにも見えなくなったとき、耳を澄ましてまわりの音にものすごく敏感になって見えない世界を想像力で頭の中で絵を書いて補っている自分がいました。
落語は聞く人が自分の頭の中で絵を浮かべる芸能です。
真っ暗闇の中、演者の言葉だけしか聞こえない状態で落語をやったらどうなるんだろう。 噺の世界により深く入りこめて、大爆笑が起こるんだろうか? それとも、シーンとして笑い声は起こらず、暗闇の世界で一人ぼっちの迷子になんだろうか?
そんな好奇心から開催にいたりました。
実際に本当の暗闇を作るというのはとんでもなく大変で、
窓や隙間に暗幕を貼ったりする準備で五時間くらいかかりました。
落語の時間より長い!!
そして終演後に暗闇を体験したみなさまともう少し時間を共有したいと思い、懇親会では、夏といえばカレーだ!ということで50人前のカレーを用意しました。
モンキーマジックさんが手作りカレーを作ってくれたのですが、50人前のカレーを作るのは大変で、三日間くらい仕込みをしていたそうです。
たぶんカレー作りが落語会で一番大変な作業でした。笑
当日は主催者の情熱が伝わったのもあり、お客様もテンションマックスで大盛り上がりでした。
小学生の男の子はくらやみで落語を聞くのを何日も前から楽しみにしていたそうです。
はじめの一席は明るいままで聞いてもらい、
そしていよいよ真っ暗闇の世界へ。
暗闇の世界では何もしゃべらないとなにも存在しなくなってしまうんですよね。
だからはじめは間を置かないように話していましたが、慣れてきたらワザと間をあけてみたりして。
お客様もぼくの気配がわかるらしく、いまは右向いて話している、膝立ちになっている、手を動かしているなどわかったそうです。
暗闇のなかで何人もの登場人物の声が聞こえてくるようで、
立体的に映像が浮かんできたという感想をいただきました。
映画は3Dや4DXの技術を足してより実際の体験に近づけようとするのに対し、
視覚を引き算することによってより想像力を引き出すことができる、
落語は引き算の芸で、不自由なほど不親切なほど聞き手の想像力に頼り、想像力を引き出す芸なんだと再確認しました。
くらやみ落語はまた来年も開催予定です。
落語の世界により深くみなさんをご案内できるように、
これからも芸に励みたいと思いますので、
またのご来場おまちしております。
今年もたくさんのご来場ありがとうございました(^^